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3・3・3の法則?

はじめての塾通いに不安を抱いている、またはなかなか学習習慣が身につかずに成績が低迷している、そんな生徒や保護者にこんな話をする。
「受験勉強には『3・3・3の法則』がある。ともかくまず騙されたと思って3日頑張れ。3日頑張れたら3週間続けられる。3週間続けられたら今度は3カ月。3カ月継続できたらもう大丈夫。きっと受験までの道のりを乗り切ることができるはずだ。」
「3」にこだわる必要はないような気もするが、中学受験のための塾通いは3~4年生から始めるケースが多いから、「受験までの道のり」もほぼ3年間だし、中学・高校も3年間だから、3日⇒3週間⇒3カ月⇒3年間という流れは確かに中学・高校・大学受験のすべてに通用する「わかりやすい法則」と言えるかもしれない。 

この「3・3・3の法則」というのは世間一般で通用しているものかと思って調べてみたら、多種多様なバージョンがあることに驚いた。
たとえば人前でスピーチやプレゼンをするときは、最初の3秒(外見や挨拶の仕方)で第一印象が決まり、次の30秒(声の出し方や表情)で聴衆の興味を引きつけられるかどうかが決まり、出だしの3分間の話の内容でスピーチの成否が決するという。「3分間の歯磨き、ご飯を食べるときは30回噛む。就寝前の3時間は食事をとらない」という「健康維持のための3・3・3の法則」もあった。
野球も3球で三振だし、3アウトで1イニングが終わるし、3イニング投げて打者一巡すればひとつの区切りとなる。だから「先発投手の心得」も「3・3・3の法則」としてプロ野球界では常識となっている・・・というのは嘘で、いま私が勝手に思いついただけなのだが。

要するに、はじめから「受験まで3年間頑張れ」とか「絶対に9イニング投げきるぞ」などと遠大な(?)目標を立ててしまうと、肩に力が入り、気持ちが空回りし、途中で挫折してしまう。だから「まず3日間」「まずストライクを3球」という気持ちで全力投球する。そして少しずつ自信をつけ、「3日間頑張れたのだから、今度は3週間だ」というように気持ちを持続させ、徐々に目標を上方修正していくべきだ、ということなのだ。

「奇妙な符合」というべきなのか、「受験の天王山」である6年生の夏期講習は7月25日に始まり、8月24日で終了する。つまり(正味は講習20日間+合宿4日間だが)開始から終了までは30日間(1日多いけど、そこは目をつぶってください・・・)。小学生にとっては想像を絶するくらいにロングランの「天王山」だ。生徒たちは配布された分厚い4教科のテキストを前にして、本当にこんなにたくさん勉強できるのだろうかとため息をついているかも知れない。うん。今こそ「3・3・3の法則」の出番だ。
「まずテキストを開いて3問解いてみよう。夏期講習はこれまでに学習した内容全部の総復習だから、忘れていることもあるだろうけれど、『あ、これは覚えてる』『よし、これなら解けるぞ』という問題もあるはずだ。3問解けたら、1日分がだいたい3ページだから、集中して3ページ分の予習を進めよう。講習が始まるまでに3日分の予習ができたら、気持ちに余裕ができる。そうすればきっと充実した30日間が過ごせるはずさ。」

ついでに言うと、中学受験はふつう算国理社の4教科だが、3教科でそこそこの点数をとることができれば1教科くらい「超ニガテ」な科目があっても合格できる。理科は生物・地学・物理・化学の4分野があるが、3分野に絞って学習しても絶対に合格ラインを超えられる。合格最低点はせいぜい6~7割だから、4分の3(75%)ならもう楽勝だ。
ここまでくるともう「こじつけ」にしか聞こえないかも知れないが、少なくとも「全教科全分野をカンペキにマスターしよう」などと遠大な計画を立てるより、「まず3問」「とりあえず3ページ」というように、手の届く目標を設定しながら一歩ずつ前進していくことが、結果的に長い夏期講習を乗り切り、「実りの秋」を迎えるための最良の戦略であることは間違いない。「あれもこれも」と欲張りすぎて、途中で息切れし、計画倒れに終わるのが最悪のシナリオなのだ。

「天王山」の夏期講習が終わっても、まだ受験までは5カ月もある。だから決して焦らずに、こつこつと、リズムを崩さず「継続」していくこと。それを最後までやり遂げれば、必ず成績は伸びる。そう信じて、子どもたちの生活リズムと学習リズムとモティベーションを持続させることが、受験生の親にとってこの夏の一番大切な仕事なのである。