啓明舎(けいめいしゃ)|難関中学受験名門/ほめ言葉

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ほめ言葉

 私は子供の頃から「超」がつくほどの運動オンチで、運動系の部活に所属したこともなく、大人になってからもまったくスポーツらしいスポーツをしたことがなかった。ところが最近さすがに「メタボ体質」が気になってきて、生まれてはじめてスポーツジムの「無料体験」に参加してみることにした。

恐る恐るトレーニングマシンに挑戦すると「フォームがいいですねぇ。ホントに初めてなんですか?」とトレーナーが声をかけてくる。入会させるためのお世辞だとわかっていても、なんだかむやみに嬉しくなって、2時間近く汗を流したあと、すぐに入会手続きをしてしまった。

人前で話をしたり文章を書いたりすることだって、もちろん褒められて嬉しくないはずがない。ただ、どうしても「失敗するわけにはいかない」というプレッシャーが先行し、「今回のお話、とても面白かったです」と言われても、「どうせ社交辞令だよな」と、ひねくれた受け止め方をしてしまうことが多い。それにひきかえ「フォームがいいですねぇ」の一言は、なんとストレートに心に染み込んでくることか。


「得意分野を褒めて伸ばす」のは指導の基本なのだが、6年のこの時期ともなると、「得意教科で失敗するわけにはいかない」というプレッシャーを感じるようになる。

むしろ、受験勉強をはじめて以来一度も褒められたことがないような「自他ともに認める苦手教科」こそ、どんなに些細なきっかけでもいい、いや何のきっかけもなくてもいいから、「最近、算数の問題に取り組む姿勢がよくなったな」と声をかけてあげよう。

それですぐに成績が上がるほど、受験勉強は甘いものではない。でも、思いもかけなかった「その一言」はきっと子供の心に染み渡り、これから受験までの厳しい道のりを歩んでいく上での励みとなる。「どうせ僕は××が苦手だから」・・そんな「心の重し」を取り除いてあげる一言を、子供たちは待ち望んでいるはずだ。