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失敗が不安な時こそ

2月3日朝、T君の母親からメールが届いた。

「A中合格しました! 今、泣きながら合格書類を受け取りに向かっています。ありがとうございました。」

T男は、本命校の前哨戦として1月に受験した中学入試で失敗し、自信を喪失していた。

「2月1日(の本命校受験)は、B中に挑戦したいと本人は言うのですが、2日のA中二次は難しいから、少しでも可能性の高い1日のA中一次に変えさせようと思うんです。もともとA中でサッカーをやりたいと始めた受験ですし」

1月末の三者面談。おろおろする母親の横で、T君は申し訳なさそうに黙り込んでいた。

「君は本当はB中に挑戦したいんだよな?」

「はい。でもB中は絶対無理だし、A中には絶対合格したいから・・・」

「サッカーの試合でPK(ペナルティー・キック)を失敗したこと、あるかい?」

「え? は、はい。あります。」

「一度失敗すると、『また失敗するんじゃないか』って不安になるだろ?」

「はい。蹴るのが怖くなります。」

「で、キーパーの逆をつこうとか、タイミングを外そうとか、考えすぎてまた失敗する」

「その通りです。」

「そういうときは、ど真ん中を狙って思いっきり蹴る。失敗を恐れていたら身体が縮こまってしまう。俺の言いたいこと、わかるか?」

T男は結局、1日のB中に挑戦し、不合格に終わった。2日の午後に受けた「すべり止め」のC中(当日夜の発表)もまさかの不合格。3日のD中受験はまさに背水の陣となった。

3日の朝、教務室でA中二次の発表を待っていると、D中の早朝激励から戻ってきた教師が声をかけてきた。

「T男が、『今日も思い切りど真ん中に蹴ってきます』と伝えてほしいって。何のことかわからないけど、すごく元気ないい顔をしていましたよ」

T男、ふっきれたな――。 教え子の成長がうれしかった。その時、私はA中の合格発表に彼の受験番号があることを確信した。