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計算ミスを恐れるな

みなさん、こんにちは。いよいよ新学年がスタートしましたね。

通っている塾によってテスト日程はさまざまでしょうが、たぶん今頃は、「春期講習明けの最初のテスト」が終わって、「やった~、クラスが上がった~!」と浮かれたり、「どうしよう、こんな成績じゃ志望校に受からないよ……」とへこんだりして、悲喜こもごもの春を迎えているのではないでしょうか。

いや、新6年生だって、まだ入試までは300日もあるのですから、「こんな成績じゃ受からない」という危機感よりも、「やべぇ、またお母さんに叱られる」という「いま、目の前のある危機」のほうが先に立っているかもしれません。

「ミスを叱らないで」…お母さんたちへお願い

私たちの塾では、この2週間で4~6年生の保護者会を実施しました。その保護者会で、ご両親に「お願い」したこと。それは「ミスを叱らない」ということです。

「どうしてまた1番の計算を間違えたの?」

「どうしてこんな簡単な漢字をミスしたの?」

「問題文に『正しくないものを選べ』って、書いてあるじゃない!」

算数の応用問題は、実際に解いてみないと、「わからなかった」のか「解き方が間違っていた」のか、それとも「解き方が合っているのに計算ミスで間違えたのか」はわかりません。国語の記述問題は、問題文を読んで、「何を答えればよいのか」を考えなければ、君たちの書いた答えが、とんでもない勘違いなのか、それとも字数が足りないから×になったのかはわかりません。

それに比べると、計算問題や漢字の書き取りは、答案をみれば「これはミスだ」ということはたいていわかります。だからお父さんやお母さんは、テストの結果を受け取ると、まず計算や漢字の「ミス」を指摘し、君たちを叱ります。

お父さんやお母さんの気持ちも、私にはよくわかります。だって、難しい問題が解けなかったら、それはそれで仕方ないけど、計算ミスで5点や10点も損している答案を見たら、「もったいない」「せっかくあんなに一生懸命勉強したのに」と思うのは当然でしょう?別に君たちが憎くて怒っているのではなく、本当に君たちのことを心配し、応援しているからこそ叱ってくれるのです(たぶん)。

いやそれ以前に、返却された答案を見た瞬間に、まず君たち自身が、

「あ~、もったいない」

「なんでこんなにつまらないミスをしちゃったんだろう?」

「計算ミスさえなければ、クラスが上がったのに」と後悔しているはずです。

「ミスをしても目標点」を目指せばいい

でも、30年間、算数の指導をしてきた立場から言わせていただけば、ミスをしない人なんかいません。

だから、「計算ミスをしないように」気をつけるよりも、「計算ミスをしても目標点(受験の場合であれば合格最低点)に届くくらいに、力をつける」ことを目指して勉強するべきなのです。

たとえば、野球の世界ならイチロー選手。彼だって、せいぜいヒットを打てるのは3回に1回。絶対に打てないようなすごいボールを投げられたり、最高のバッティングをしたのに、ファインプレーでアウトになったりすることもあるでしょう。でも、アウトになった「3回に2回」のうちのほとんどは「打ち損ね」、つまり「ミス」のはずです。

人間だから間違える

将棋の世界では、先日、プロ棋士とコンピューターの将棋ソフトが対決する「電王戦」が行われました。昨年の第2回は1勝3敗1分け、今年は1勝4敗で、いずれも「プロ棋士」が負けてしまいました。

対戦者の一人である屋敷伸之九段は、プロ入り25年の大ベテラン。「棋聖」というタイトルを3回も獲得した実力者です。対戦後、屋敷九段は「難しい終盤戦だった。最後はいくつか間違えたので、負けはしょうがない」と語りました。

そう。プロの棋士でも「いくつか間違える」のです。しかしコンピューターは、基本的には「間違える」ことはしません。「人間だから、間違える」のです。

まして、小学生の君たちが、限られた試験時間と緊張した雰囲気のなかで、「絶対にミスするな」と言われたら,かえって緊張して、ミスが増えてしまうはずです。

「暗算力」鍛えて早く解く

では、計算ミスをなくすにはどうしたらいいのでしょうか?

「絶対に計算ミスをしない」という魔法はありませんが、「計算ミスをしても合格できるようにする」ための作戦やトレーニングの方法はあります。

一言でいえば、それは「早く解く」こと。

そのためには、できるだけ筆算をしないで、暗算で解くこと。

「ええ~っ?!」と驚いた人もいるかもしれません。

「だって、計算ミスをするたびに、お父さんやお母さん(もしくは学校や塾の先生)は『ちゃんと筆算をしないから、間違えるんだ』『もっと落ち着いて解きなさい』って、怒るんだもん……」

もちろん、「27520+15991-7945」を暗算で解く人は、あまりいないでしょう。

では「12×6」は筆算で解きますか?たぶん、4年生以上なら、「暗算」ですよね?

「1000-795」や「3.14×6」はどうですか?これも「暗算」で解くべき問題です。少なくとも「暗算で解けるようにトレーニングすべき問題」です。

早く解いて、時間に余裕を持たせよう

ひとつの文章題を解くときに、やさしい問題なら2回くらい、入試の難問レベルなら10回くらい計算をしなければならない場合もあります。それを、すべて筆算で解くのか、「できるだけ」暗算で解くのかによって、所要時間が大きく変わります。

素早く暗算で解けば、たまにはミスもするでしょうが、時間に余裕ができます。余裕ができれば、もっと他の問題を解くこともできるし、余った時間で計算の見直しもすることができます。

だから、あえて誤解を恐れずにいえば、「20分で100回の計算ができて、そのうち2回くらい計算ミスをする人」と「20分で30回しか計算ができないけど、1回もミスをしない人」では、絶対に前者のほうが算数の点数は高いし、志望校に合格する可能性は高いのです。

だから、絶対に計算ミスを恐れずに、少しでも早く計算できるように、練習しましょう。

ただし、「計算の仕方を間違えている」とか、絶対に覚えておくべき「計算のくふう」ができないというのは、「単なる勉強不足」であり、そういうのは「ミス」とはいいませんからね。

「17×7」を1秒で答える

計算の学習進度も人によってさまざまでしょうが、一般的な到達目標としては、夏までのあいだに3年生であれば、「2けた×1けた」のかけ算を、できるだけ暗算で解けるようにすること。

4年生であれば、四則混合計算(+-×÷が混じった計算)や「逆算」(式の途中の空欄を求める計算)を、限られた時間内に1問でも多く解けるようにすること。

5年生は、分数の通分や約分をできるだけ「1呼吸」でできるようにすること。

これらをひとつの目標とするといいかもしれません。

電車のなかや、お風呂のなかで、「12の段」(12×2~12×9)から「19の段」(19×2~19×9)までを「九九」と同じように暗唱するのは、野球選手の「素振り」やサッカー選手の「リフティング」と同じくらいに大切な、「受験生にとっての基礎トレーニング」だと思ってください。

「17×7」を1秒で答えられるようになったとき、君たちの「算数力」は驚くほど上昇しているはずです。そのためには、繰り返しになりますが、「日々の基礎トレーニング」を怠らないことと、そして「ミスを恐れない」こと。

他にも「暗算力」を高めるためのトレーニング方法はいくつもありますが、それはまた別の機会にお話しすることにしましょう。