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計算力伸ばしたいなら

  「976円の買い物をしたときの理想の払い方は?」―。200人に聞いた結果が、フリーペーパーに載っていた。1位は「1006円出して30円もらう」だった。

 こういう払い方をすると、欧米では「面倒くさいことをするな」と6円を突き返され、1円を4枚並べて980円、10円を2枚並べて1000円という「たし算方式」でお釣りを渡される。日本なら、駄菓子屋のおばあちゃんでも即座にお釣りをくれるのに、欧米人は引き算が苦手だという乱暴な文化論(?)も、かつてはよくみかけた。

 本当に苦手なのか調べたことがないが、数字の読み方の違いにも原因がありそうだ。例えばドイツ語では976を「900と6と70」と表現する。慣れるまでは読むのも面倒くさいし、少なくとも引き算の暗算は日本語の読み方よりずっと面倒くさそうだ。

 2月から新小学2年生の授業を担当することになり、徹底的に「補数」の練習をさせている。補数とは、「足すとちょうど100や1000になる数」。つまり88の補数は12、976の補数は24だ。補数の感覚が身につけば、88+29=100+(29-12)=117というように暗算速度が飛躍的に向上する。

 「88+12=100」という感覚は、日本語の表記法ならかなり自然に身につくはずなのだが、それができない子供が少なからずいる。

 これは「まだ学校で繰り下がりの計算を教わっていないから」という問題ではない。「お買い物に行ったときにお釣りの計算をするでしょ?」と尋ねると、子供たちは「機械が計算してくれるから」とか、「ピッとやるだけだから」(ICカードで払う)と答える。暗たんたる気持ちになる。

 「お釣りの硬貨の枚数が一番少なくなる(財布が軽くなる)払い方」を考えさせる問題は、中学入試でもよく出題される。計算力を伸ばしたいなら、少なくとも「ピッ」で買い物をさせるのはやめさせた方がよさそうだ。