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小学生の志望校選び

 2学期最初の授業で、6年生に「志望校調査書」を提出させ、「なぜこの学校を志望するのか」を聞いた。

 男子の回答で一番多いのは、「文化祭で見た○○部が楽しかったから」。「何が楽しかったのか?」と尋ねると、「説明してくれた先輩がやさしくて、『受験勉強頑張って、ウチに入学しろよ!』って言ってくれたのがうれしかったから」などと答える。30年前にこの仕事を始めて以来、12歳男子の考えることはほとんど変わらない。

 同じような声は女子からも聞こえるが、何と言っても女子に特有なのは「校舎に入ったところのらせん階段がステキだったから」「あの制服を着て、渋谷の街を歩きたいから」などという回答だ。仕事や家事の合間をぬって説明会に足を運び、ママ友たちから情報を集め、「我が子に最適の学校はどこなのか」と頭を悩ます保護者が聞いたら、あぜんとしそうだ。

 でも、12歳の子供が建学の精神や進学指導体制で学校を選ぶ方が、親に言わされている感があって、すこし気持ちが悪い。

 実は、「あの制服で渋谷の街を歩きたい」と思うのも、「文化祭での先輩の一言」で学校を選ぶのも、根底にある動機は同じなのかもしれない。「自分もあんな中学生(高校生)になりたい」という思いである。別に渋谷の街そのものに憧れているわけではなく、その街を制服で歩く先輩たちの姿と自分を同一視しているのだろう。

 6年生にもなると、「自分は小学校の校庭で走り回るガキたちとは違うんだ」という自意識が強くなり、いつまでも子供扱いする親に反発心を抱くようになる。親のかわりに自己形成のモデルとなるのが先輩だ。それは昔の共同体でも現代の学校でも、さほど違いはない。

 模擬試験の成績や保護者の希望で志望校を変更することもあるし、受験に失敗して他の学校に進学する可能性もある。でも「あんな先輩みたいになりたい」という気持ちは。大切に育み続けてあげたいものだ。