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勉強漬けの1ヶ月、財産に

夏期講習直前の授業の時のことである。
「みんなは『秋入学』って知ってるかい?」
「あ、それ聞いたことある……」
「大学が9月から始まるんだよね」
「そうだ。これは『世界基準』、つまり他の国に合わせることで、日本と海外の人の交流を深めるものだが、メリットはもう一つある。それは2月の寒い時期に入学試験をしなくてよいということなんだ」
「なるほど~」
「特に中学受験は人生一度きり。それなのにインフルエンザで受験できないなんてかわいそうすぎるので、今年から9月1日から試験を行うことになった」
教室は蜂の巣をつついたような騒ぎになる。
「そんなのウソだよ~」
「ねぇ、それってホントにホントですか?」
「だから入試まで残り50日しかない。ここからは一日一日が本当の戦いになる……。そのくらいの気持ちでこの夏を過ごさなければならない」
「なんだ、やっぱりウソじゃん。焦った~」

しかしこの夏は実際に、9月に入試が行われることを想定して、授業の進度を早め、宿題の量も増やした。夏合宿では早々と入試本番を想定した模擬試験も実施した。いくら「夏は入試の天王山」と繰り返しても、子供たちにとって入試はまだ遠い先の話。真面目な子は目先の宿題やテストに忙殺されてしまうし、のんきな男子連中はダラダラと過ごしてしまう。そんな意識を一掃するための気合入れだったが、効果はせいぜい1週間だろうか。

それでもこの1ヶ月、朝から夜まで塾と家で勉強漬けだったことは確かだ。「かわいそう」と評する人もいるかもしれないが、一つの目標に向かい全身全霊を傾ける1ヶ月は、これからの人生でもそれほど経験できるものではない。

先日、教室に「入試まであと10日」という掲示をした。暑い夏を最後まで全力で駆け抜けた子供たちは、必ず豊かな実りの秋を迎えると信じている。