ホーム > 塾長・後藤卓也のつぶやき > 温故知新こそ基本理念

ここから本文です。

温故知新こそ基本理念

一昔前まで私立中学説明会の目玉といえば、有名デザイナーによるオシャレな制服とネーティヴ(英語を母国語とする教員)による英会話教育、それにパソコン教室と相場は決まっていた。やがて耐震工事をかねた新校舎の整備、そして理系(特に医歯薬系学部)への進学実績に目玉は変わり、最近は判で押したように「アクティブ・ラーニング」と「情報通信技術(ICT)教育」だ。
しかし、「教室にプロジェクターを入れ、グループ学習の成果をプレゼンテーションさせる授業がアクティブ・ラーニング」といわれると、「その程度のことは40年も前に中学でやらされた」と言いたくなる。タブレット端末導入も大流行だが、大切なのはツールではなくコンテンツだ。
公立中学が生徒全員にタブレットを無償配布する時代だ。私学も経営努力に必死なのだろうが、そんな薄っぺらなキャッチコピーで学校選択をしてほしくはないと思う。
ある私立中学の説明会で、情報科担当の教員が「私たちはICT教育に必ずしも積極的ではありません」と切り出したのには驚いた。ICTの必要性を否定しているわけではない。ただ、教員の大半が
“前ICT世代”という現状でプログラミングやアプリ作成をきちんと指導できる自信はない。それよりは、「紙と黒板を使った昔ながらの指導の必要性と意義を信じ、自分たちにできることを精一杯やります」という話に、心の中で喝采を送った。
英語教育でも同じことがいえるだろう。何十年も受験英語の指導に携わってきたベテラン教員が、ネーティブ並みの発音ができないからと現場を外されたら、とんでもない損失だ。
「時代の要請に応える」ことと「伝えるべきことを伝える」こと、すなわち温故知新こそが、いつの時代も変わらぬ教育の根本理念だ。遠からず私も教育現場を離れる。その日まで、知新の気概を失うことなく、温故の精神を伝え続けていきたい。