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傷つく覚悟で向き合う

6年生の保護者を対象に志望校を決める個人面談を行った。
席に着くなりため息をつき、「ここに来るのが辛かったです」「お忙しい中をウチみたいな子のためにお時間を頂戴して申し訳ありません」と深々と頭を下げる保護者が少なくない。
共働きで仕事と育児に忙殺され、子供のしつけと学習管理ができていないことに負い目を感じているのだ。
家庭の事情はわかっているし、成績が伸びない責任は我々にもあるから、かえって恐縮してしまう。
かつては、「高い授業料を払っているのに、なぜウチの子は1組(成績の最上位クラス)に上がれないんだ!」と激高する父親もいた。「どうして息子だけA中に落ちたんだ。息子の人生をどうしてくれる」と詰問されたこともあった。でも、それを受け止めるのも塾教師の仕事だと割り切っていた。成績がいい子を退塾させないために、わがまま放題を見て見ぬふりしたこともあった。難関校の合格実績が下がって子供が減れば、塾の経営は成り立たない。実績こそが正義だと信じていた。だが、本気で次世代を担う子供たちを育てようとするならば、保護者や子供におもねることなく、自らが向こう傷を負うことをも覚悟して言うべきことを言わないと、教育者たる資格はない。そんな重いが年々強くなり、腹をくくって子供や保護者に向き合うようにしたら、塾の中に吹く風が変わった。「確かに志望校の合格は厳しい状況です。でもどんな結果になっても、お子さんが『最後まで諦めずにやり通せた。お父さんもお母さんも先生もずっと応援してくれた』と思ってくれるなら、絶対に『後悔しない受験』になります」。面談で話しかけると、保護者がうなずいてくれる。
こんな保護者に支えられて今の自分がある。その思いを裏切らないために、どんな苦労もいとわない。
応援することは、応援された側だけでなく、本気で応援した側にもたくさんの糧を与えてくれるのだと思う。