啓明舎(けいめいしゃ)|難関中学受験名門/子供の言い分と向き合う

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子供の言い分と向き合う

夏期講習真っ盛りである。普段なら家庭―学校―塾と3つの居場所があるから、どこかで気分転換ができる。しかし講習中は、ひたすら家庭と塾の往復。まして夏期講習は1カ月以上、春や冬とは比較にならない長さに加え、とにかく暑い。しかも中学受験をしない同級生たちはプールや遊園地で夏休みを謳歌している。「なんで自分だけこんな思いをしなければならないのか……」。気持ちは痛いほどわかる。
夏期講習も半ばを過ぎストレスがピークに達すると子供たちは本性を表す。その表現方法が男子と女子では全く異なるのが面白い。
男子に比べ精神的な成長が圧倒的に速い女子は、同性のライバルである母親に対し自己主張を始める。「私は先生に教わった通りに解いているんだから、何にもわからないお母さんは黙ってて!」と泣き叫ぶ。
一方、成長が遅い男子は、自己主張よりも自己否定に走りがちだ。「どうせボクなんか……」といじけ始め、宿題をごまかしたり、答案を隠したりする。塾に行くふりをして逃亡するのもほぼ全員が男の子だ。最近は出欠管理用のICカードだけカードリーダーに通して、次々に登塾してくる人混みに紛れて抜け出す知能犯も増えてきた。
極論すれば、女子は「新しい自分を認めてほしい」、男子は「これまでの自分を愛し続けてほしい」と訴えている。表現形態は異なるが、どちらも自己被認知欲求であることに変わりはない。
こんなときは本人の言い分をじっくり聞いてやるしかない。授業後に面談をし、場合によってはその後で保護者を交えて三者面談をする。朝から晩まで授業を続けたあとに面談の時間をとるのはつらいが、ここが踏ん張りどころだ。早めに爆発を経験した子のほうが、予後良好となるケースも少なくないのだから。
「あの夏は本当に大変だったよね~」と、すべてが良き思い出話になるように、残り一週間強、全力で子供たちと向き合うしかない。