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わずか数か月で急成長

中学受験が終わった後も、中学校での生活が軌道に乗るまで、担当した子供たちの英語と数学を指導する中1クラスというものがある。7月中旬の最後の授業では、毎年ささやかなサプライズを用意して子供たちを送り出す。
しかし今年は見事に逆サプライズを仕掛けられた。最後まで授業に出席した女子全員が、写真やイラストが入った寄せ書きをプレゼントしてくれたのだ。

学校の卒業式では日常茶飯事だろうが、進学塾の場合は入試前日の檄例会(げきれいかい)が終わったら、普通はそれでチームは解散。子供たちはそれぞれの小学校での生活に復帰し、4月からは中学校で新生活をスタートさせる。だから三々五々、初々しい制服姿で遊びに来たり、両親と挨拶に来ることはあっても、チームでこんな仕掛けをしてくれたのは初めての経験だった。

思えばこの子たちはみなギリギリの成績で志望校に合格しているから、それだけ感謝の思いが強いのだろう。しかし他方で「先生の授業は超怖かったけど、わかりやすかった」「中学より塾の授業のほうがずっと楽しかった」「いつまでも塾に通い続けたい」と、塾離れができずにいた子たちでもあった。

その気持ちはうれしいけれど、人は皆、いつかは住み慣れた環境に別れを告げて、新たな一歩を踏み出さなければならない。塾を離れ、学校を卒業し、やがては親元も離れて社会に出て行く時がくる。中学受験も次の成長段階に向けた通過儀礼の一つなのだ。

実は彼女たちもわかっていたのだろう。これでチームは解散。全員顔をそろえて塾に来ることは、たぶん二度とないと。寄せ書きは彼女たちからの「決別の辞」なのだ。「これまで本当にありがとう」「寂しいけど、私たちはもう大丈夫」「元気でね。私たちのこと忘れないでね」。そんな思いが詰まっている。ほんの数カ月で身体も心も一回り成長して巣立っていく姿に、私はいつまでも心の中で手を振り続けた。