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教え合い 受験の思い出

私たちの塾は毎年、中学入試を終えた卒塾生の親子3組に座談会を依頼し、受験までの苦労話や親の関わり方、後輩へのメッセージを動画で公開している。
「チームの仲間で、苦手な教科を教え合うのがとても楽しくて心強くて役に立った」――。今年、最も印象に残ったのは、算数でとても苦労していたA子の言葉だった。
秋の個人面談で受験校が決まると、それぞれの志望校の過去問題に取り組ませる。2クラス40人の第1志望校は10校ほどに分散し、第2、第3志望校や1月に入試のある学校まで含めると、受験校の総数は膨大な数になる。その答案添削や質問対応を一人ひとりこなしていては時間がいくらあっても足りない。
そこで、数年前から同じ学校を志望する子供同士で「△△中チーム」を結成させ、幹事を決め、事前に予約した日時に同じ年の過去問題をチーム単位で指導することにした。
ただ、前の時間帯の私の指導が長引くと、待ち時間が生じる。その時間にA子たちのチームは教室の片隅でお互いの答案を比べ合い、一緒に考え、得意教科を教え合うようになった。
この仕組みは、受験者が1人の場合は個別対応するしかないし、全員が2~3校のチームに所属するので時間調整がうまくいかなかったり、チーム内の学力差が大き過ぎたりと、試行錯誤の連続なのだが、A子が幹事を務めた「B中チーム」はうまく機能し、3人とも合格を勝ち取った。
「教えることは2度学ぶことである」とは、フランスの哲学者ジュベールの言葉である。でも、まだ幼い小学生同士。教え合いよりも、私たちの直接指導の方が効率的ではある。でも同じ志望校を目指すチームで学び合った時間は、何より強い団結心を生む。
A子以外の2人は、より志望順位が高い別々の中学に進学する。でもこの3人は、いつかどこかでまた巡り合い、学び合い教え合った時間を懐かしく語り合う機会が訪れる予感がする。